胎児や胎児や…

 少し前ですが、PENICILLINHAKUEI千聖 のユニット、nano が、CD 同伴の DVD に、「ドグラ・マグラ」のドラマ版(当然自分達が出る)を収録すると、発表がありました。なんじゃそりゃ〜〜と、突っ込みたいのは、私も同じ。誰の発案か知りませんが、すごい事をやりますよね…。まったく驚きました。


 「ドグラ・マグラ」は、1935年に出版された、夢野久作 の代表作です。歴史的な奇書、と言わんばかりの評判で、日本探偵小説における、三大奇書の一つとされています。有名と言えば、非常に有名な本なので、いつか読みたいと思っていたのですが…私はまだ読んだ事がありませんでした。理由は、この本の表紙。


ドグラ・マグラ (上) (角川文庫)

ドグラ・マグラ (上) (角川文庫)


 手に取るの、躊躇いますよね〜 (^^;) べつに、官能小説でも何でも無いのですが、なんでこんな表紙にしたのだか。
 ちなみに、角川版に比べると全然目にしませんが、別の出版社から出てるのは、こんな表紙。



 そして、1988年に作られた映画の DVD がこれ。


ドグラ・マグラ [DVD]

ドグラ・マグラ [DVD]


 こんな妖しい小説じゃないですってばっ!!! (^^;;;)



 そんな「ドグラ・マグラ」ですが、良い機会なので、図書館で借りて読んでみました。「これを読む者は、一度は精神に異常をきたすと伝えられる、一大奇書。」…なんて、たいそうな宣伝文句がありますが、まあ何か普通に楽しめました。言わば古典的名作なので、最近の小説でも影響受けている物が多いんですね。何か全然違和感無かったです。
 ただ、主人公が記憶喪失なのに、周りの人が嘘をついたり、幻覚を見たりします。おかげで虚実が分からなくなり、落ち着かなくなります。そこら辺が精神に異常をきたすと言われる所以でしょうか。あと、最後の最後、一番上に着く直前に、ハシゴを外されてしまった感があります。こう言うオチにする必要あったのかな?その辺りが不満と言えば不満ではあるのですが…でも、この作品の特徴とも言えそうです。
 全般的には、各種伏線や話の展開は見事な物。また、精神病の患者・治療についての考えは、今では時代が違うとは言え、非常に鋭いです。脳に関する考えも、荒唐無稽な所は多いですが、なかなか興味深い物でした。


 奇書と言うより怪作かな?TVのサスペンス劇場などでない、設定が凝った、独創的なミステリーが好きな人には、非常に面白いでしょう。歴史に残る作品なのも納得です。なかなか満足できました (^^)